mja

2009-02-28-dlog

引き戸をあけると薄暗い玄関から廊下が右手へのびている。板張りの廊下にはガラスの戸から陽が差し白い障子が明く反射しており、その反対側にはこざっぱりした庭がひろがっていて、背の低い笹の藪や石灯籠などが無造作に配置されていた。玄関口から客が呼ぶと、その廊下の一番手前の障子が開いて、割烹着姿のおかみさんが出てきた。
「今晩の宿泊はできますか」
「すでに先客があるのですが、相部屋でよろしければ」
そこは割烹風の店で、簡単ながら宿泊できる部屋があった。玄関のすぐ裏にある部屋で北側にある。先客とは我々のことで、法事の関係でこちらに宿泊中だった。母は親類と話があるとかで出かけており、自分だけがその部屋にいた。
「そういうわけでご一緒ということになるけど、よろしいかしら」
「じゃあ寝床を用意しないといけないですね」
そのおかみさんは母の知人で、泊めてもらっていたのもそのつてと好意であったから断る筋合もない。それに確認をしようにも、翌日、石鳥谷から来る親戚をむかえるための準備があるとかで母は帰りが遅い。夜は近くのラーメン屋で食事をとれと置き手紙されていた。
翌朝。起きると自分の荷物に "助けてください" と書かれた手紙が置かれていた。昨日相部屋となった客からのものであった。内容は金銭的援助を求めるといったものであり、なぜ自分(自分達)に?と思ったが、その理由は、このような場所に宿泊するくらいであるから、そういった面で余裕もあろう、というひどく安易なものだった。
ここで別の話に変わってった。